オモリカゴの製作 
製作コンセプト

磯竿での浮きフカセ釣りはコマセが必要不可欠な要素であるのだが、物量作戦に於ける絨毯爆撃よろしく大量のコマセをまき散らすのは経費的にも環境衛生的にもやや問題があるように思える。

貧乏釣り師であるにもかかわらず頻繁に釣行している私としては使うコマセはなるべく少なくしたい。

そこで少量のコマセを効果的に使う手だてとして磯竿用の超小型コマセカゴを作ることにした。

1号の磯竿で使えるようになるべく軽く、しかもフカセ用の中遠し浮きを使った時でも、カゴが潮流に流される事により、浮きが沈んでしまわないよう、なるべく小型にする事を心がける。

3号負荷の中通し浮きを使用する事を前提にし、潮流にコマセカゴが引き込まれる事への対策として残浮力を1~1.5号ほどとる事にする。

浮きに対して1.5~2号位のオモリの役目も果たす物とする。


製作に必要なもの

材料は全て手持ちの物で間に合わせた。

左上から時計回りに、レジン入り糸ハンダ、コマセカゴのフレームを構成するエアコン用の銅パイプ、スナップ付きスイベル、細めの銅線。

これらはホームセンターで揃うと思う。

 

必要な工具類、左から、ニッパー、ラジオペンチ、プライヤー、ハンドドリルとドリルの刃(3ミリと5ミリ)、パイプカッター、小型の金属用ヤスリ、紙ヤスリ。

パイプカッターがやや特殊な工具だが金ノコで代用可能だ。

その他、60ワット位のハンダゴテと1グラム単位で重さが計れるハカリ。

ハカリが無いときは、実際に使う浮きに計りたい対象を結びつけて、風呂桶などの水面に浮かべてみれば、ある程度の重さの目安はつくはずだ。


製作手順の概要

まず、コマセカゴのフレームを構成する銅パイプを適当な長さに切断する。

単位あたりの重さを知るためにも切りの良い長さで切断するのがよい。

今回の材料は手持ちの関係でエアコン配管用の3ぶの銅パイプだが、新たに入手するならもう少し肉薄の真鍮パイプなどが良いと思う。

2.5センチに切断した物の重さは6.6グラム。

釣り用のオモリは1号4グラムだからこれで約1.5号だ。

まずはこのパイプを縦に使った縦型のコマセカゴを作ってみる。

ヤスリで、コマセカゴの底面になる方に金網を付けるための溝を付ける。

金網の編み目の大きさは、仕掛けを投げた時、コマセがすっぽ抜けずに、それでいて水中でコマセが出やすい大きさが良いだろう。

反対側、コマセカゴの上面になる部分にスナップ付きスイベルを付けるための3ミリの穴を開ける。

スナップ付きスイベルのスナップが付いていないほうの輪をつぶして写真のように加工する。

これを先程あけた3ミリの穴に通してからラジオペンチでカシメる。

底面になる方に付けた溝に合わせて銅線を写真のように曲げ加工する。

今回は井桁に針金を渡して目の粗い編み目を作るものとする。

スナップ付きスイベル、編み目ともにハンダ付けして仕上げる。

ちなみにスズと鉛が主成分の一般的な糸ハンダで良好にハンダ付けが出来る金属はスズ、銅、真鍮、銀などである。

メッキ材のクロムなどはハンダが付かないのであらかじめヤスリなどで取り除いておく。

鉄はハンダ付け出来ないことはないがフラックスを使わないとうまく付かないようだ。

余分なハンダはヤスリで取り去り表面に引っ掛かりなどが無いようにする。

仕上がり重量7.7グラム。

約2号弱の重さだ。


中通し式への改造

作った早々、使ってもいないのに改造とは此れ如何に!。

まあ、私の場合、使う為に作りと言うより改造する為に作ってますので、、、。

工作好き故の悲劇よのう!

で、やはり中通し浮きには中通しオモリだ!と思い、中通しに改造する事にする。

使う材料は直径3ミリほどの真鍮製のパイプだ。

真鍮製のパイプをコマセカゴと同じ長さに切断してから、切断面をきれいにヤスリで仕上げる。

このヤスリでの仕上げが悪いと道糸が傷ついて切れてしまう事になるので要注意だ。

ニッパーでスナップ付きスイベルを切り離し、ハンダゴテで真鍮製のパイプをハンダ付けする。

若干重くなったのでそれを補正し尚且つコマセの出を良くするように側面に5ミリの穴を1つ開けた。

余分なハンダを取り去るようにヤスリで仕上げて完成だ。


横型の中通し式コマセカゴ

縦型と同じく2.5センチに切断したエアコン配管用の3ぶの銅パイプを加工して横型のオモリ兼用のコマセカゴも同時に製作した。

こちらも中通し式にしている。

道糸が通る部分は縦型と同じ真鍮製のパイプをハンダ付けして作った。

こちらは横型なので仕掛けを投げる時にコマセがすっぽ抜ける事は少ないだろうと予想し、金網などは付けていない。

コマセが出やすいように周囲に3ミリの穴を14個ほど開けた。

完成した今回製作したコマセカゴ2例。

実際の使用状態と同じように道糸やしもり玉を通してみた。

写真の左側が縦型、右側が横型の中通し式コマセカゴ。


特別付録

投げ竿での浮きカゴ仕掛けに使う既製品のコマセカゴは便利な機能が付いた物が多数販売されている。

写真の左側の物は、仕掛けを投げて目的のタナに沈み切るとカゴの底面のフタが自動的に開いてコマセが出るというすぐれ物だ。

これをお手本に、1号の磯竿で使えるような小型のものを作ってみたのが写真の右側の物だ。

使う浮きは3号負荷の中通し浮きとしたので、残浮力を1.5号みるとして、水中でのオモリとしての負荷は1.5号相当とした。

既製品の方は刺し餌もカゴの中に収納して投げられるのだが、今回製作の物は小型ゆえにオキアミくらいの大きさの刺し餌だと入らない。

しかし、かなり小型の針にオキアミの頭を取り去るなどして小さめに餌を付ければ入れられない事もないかも知れない。

カゴの本体は、私の本業である写真撮影で使った45のポラロイドフィルムのコーターの入れ物を廃物利用した。

カゴ底面のフタはやはりコーターの入れ物のフタを廃物利用。

本体、フタともに水より軽いのでフタのみ沈むように小型のオモリをフタの上部に付けている。

フタの下に付いている丸いオモリはカゴ全体で1.5号になるようにする為の物。

カゴを貫く黒い糸は既製品にならい細めのワイヤーに黒い熱収縮チューブをかぶせた物だ。

ワイヤーの上端と下端はともに電工用の圧着端子を使いスイベルを取り付けた。

陸上での重さは11グラム、約4号弱。

しかし、水中でのオモリとしての負荷は、カゴやしもり玉の浮力を差し引くと約1.5号相当だ。

カゴに入れるコマセの比重にもよるが、3号負荷の中通し浮きにはちょうどよいオモリ負荷だと思う。


特別付録 その2 ウキ合体型コマセカゴ

ウミタナゴや小メジナなど表層近くにいる魚を狙うときに使う、棒ウキと小型のコマセカゴが合体したウキコマセカゴを作ったみた。

使う素材は手持ちの関係で前出の45のポラロイドフィルムのコーターの入れ物と、やはり手持ちの関係で1.5号負荷の棒ウキだ。

尚、ポラロイドフィルムのコーターの入れ物は一般的でないので入手しづらいと思う、その時は写真のフィルムが入っている入れ物(パトロネの入れ物)などを利用すれば良いだろう。

ポラロイドフィルムのコーターの入れ物に写真のように大きめの穴を数個開けてコマセカゴとする。

棒ウキの基部にも2ミリ程の小さな穴を1個開ける

棒ウキを差し込んだときに棒ウキの基部が来るあたりに、棒ウキとコマセカゴをテグスで結ぶための穴を適宜開ける。

カゴに棒ウキを差し込むための穴を開ける。

棒ウキをカゴに差し込む。

ウキの基部に開けた穴と、カゴに開けた穴とを太めのテグスでシッカリと結ぶ。

尚、仕掛けに取り付ける時の事を考えスナップ付スイベルも一緒に結びつけた。

でき上がったウキコマセカゴ。

カゴの下端は筒抜け状態に開いている。

使う時はまずウキのトップ付近を持ってコマセにカゴの部分を突っ込む。

するとカゴにコマセが充填される。

投げる時は写真の右側のように転倒した状態で飛んで行くのでコマセはこぼれ落ちない。

着水するとカゴ下端の開口部からコマセが出てくると言う訳だ。


実際の釣りでの実証試験

以上、磯竿用の超小型コマセカゴ4例を製作してみたが、これらが実際の釣りでどれほど通用するのか。

私がよく行く大磯港のテトラでの磯釣りで実証試験してみたい。

結果は請うご期待。

アッという間に根がかりしてロスったりして、、、。

その時は泣きましょう。

2006 yukitan@attglobal.net

リターン