ここ数年カスタムナイフが静かな流行になっているようです。専門書や雑誌も出版されているようで、それらの記事にカスタムナイフの製作方法が掲載されていたりするのを見受けます。しかし、素人には設備や技術の点からも難しいようです。アパート住まいの人にはなおさらです。そこで、アパート住まいの僕としては既製品のナイフのハンドルだけ作り替えてカスタムメードの雰囲気に浸りたい、、、。なんて思ったりしたわけです。

今回はアルマー製の "ウッズマン" なるナイフのハンドルを改造します。このナイフはブレードの鋼材がATS-34、ハンドルの材質がザイテル(エンジニアリングプラスチックみたいな感じの物)で作られています。ブレードの長さは約11センチとフォールディングナイフとしては大きめです。このシリーズはブレードの形状の違いで3種類のバリエーションがあるようです。今回の改造ハンドルは、どのタイプにもそのまま応用できます。値段はマルキン商店のインターネット通販で7500円位でした。ブレード材はATS-34と高級なのに、ハンドルが樹脂製でややチャチなのと握ったときのバランスがシックリしないので、これをアルミ製に改造します。下の写真は改造前の "ウッズマン" です。

必要な工具は下の写真のような物があれば何とかなります。これに小型の万力(バイス)があれば尚よいです。全て揃えてもホームセンターで1万円以下で買えると思います。

まず、カシメてあるピンの頭をドリルに付けた小型研削砥石で削って取外します。カシメられたピンの頭を削ってから釘などをあてがって叩くと簡単に外せます。このナイフはたった2本のピンで組み立てられているため、バラスのは楽です。バラシた部品は組立の時、使う事が有るため全てとっておきます。

バラシたハンドルの形に合わせてアルミ板をカットします。今回は強度の事を考えて5ミリ厚のアルミ板をカットしました。3ミリ厚位でも十分だとは思います。その方が加工も数段楽になります。ハンドルの寸法出しは慎重に行ないます。元の形と同じにする必要はありません。デザインや使い勝手を考えてオリジナリティーを盛り込むようにします。切出しが終わったらピン穴を開けておきます。ピン穴の位置だしはオリジナルの位置を元にして狂いの無いようにします。今回の改造で一番難しいと言うか要になるのがこのピン穴の位置出しです。オリジナルは一体型ですが改造ハンドルは3つの部品からなるため、組立強度を考えてピン穴を多めの5個としました。

下の写真はオリジナルのハンドルと切り出したアルミ板の部品です。3つのアルミ部品を組み合わせるとオリジナルのハンドルと同じ構造になります。表になる面に丸みが付くようヤスリで加工します。フィンガーチャネル等を付けても良いでしょう。

ここまで出来たら仮に組み立ててみます。ブレードロックの位置やブレードの止り具合を確認しておきます。

 

ブレードロック金具にテンションを与えるバネの取付け方向に注意します。

 

ピンも仮に入れてみます。この時、使用するピンはバラシタ時に出たピンでも良いですし入れづらいようなら竹串などで代用しても良いでしょう。

 

ブレードの動作やロックのかかり具合を良くチェックしておきます。

各部の動作がOKならば、ピンをカシメます。ピンの頭を金づち等で慎重に叩いてかしめます。叩く時、ピンの頭に金属棒などをあてがうとハンドル材を叩かずにすみます。間違ってハンドル材を叩いてしまうとブレードがうまく収納しなくなってしまいます。一箇所のピンを200回くらい叩いてカシメるつもりで慎重におこないます。強く叩くと絶対に失敗します。ピンはバラシた時出たものが使えればそれを使い、ダメなら市販の真鍮やステンレスのネジを使うのが良いようです。今回はブレードとロックスプリングを止めるピンはバラシた時出たもを、それ以外の増設したピンは直径3ミリの真鍮製ネジを使用しました。

最後にハンドル全体をヤスリで仕上げて完成です。

 

握ったときのバランスが非常に良い、ような気がする、、、。

見た目にも高級感に溢れている、と思いたい、、、。

製作期間3日間、費用は工具を除く材料費1200円くらい。即席だけど結構カスタムメードナイフの気分を味わえます。

リターン